EU CosIng(Cosmetic Ingredient)データベースは、世界で最も体系化された化粧品成分の情報源です。日本のサロン経営者は、輸入化粧品・並行輸入製品・国際ブランドを扱う際、CosIngを参照することで成分安全性・規制状況を確認できます。本稿は、日本のサロンが CosIng をどう活用すべきか、薬機法との関係を含めて解説します。
EU CosIng(Cosmetic Ingredient)データベースは、世界で最も体系化された化粧品成分の情報源です。日本のサロン経営者は、輸入化粧品・並行輸入製品・国際ブランドを扱う際、CosIngを参照することで成分安全性・規制状況を確認できます。本稿は、日本のサロンが CosIng...
📑 目次
1. EU CosIngとは
EU CosIngは、EU欧州委員会が運営する化粧品成分データベース。EU規則 1223/2009 の下で:
- 全化粧品成分のINCI名・CAS番号
- 機能(防腐剤・界面活性剤等)
- Annex II(禁止)/ III(制限)/ IV(色素)/ V(防腐剤)/ VI(UV吸収剤)の掲載
- 制限事項
- SCCS(消費者安全科学委員会)意見
URL:https://ec.europa.eu/growth/tools-databases/cosing/
2. 日本のサロンにとっての関連性
EU の化粧品規制は世界で最も厳格。日本のサロンが CosIng を参照する場面:
| シナリオ | 利用方法 |
|---|---|
| 並行輸入製品の安全性確認 | EU基準で配合成分をチェック |
| 国際ブランド製品の理解 | 製品の真の規制状況を理解 |
| クライアント質問への回答 | 「これは安全?」への根拠 |
| サプライヤー選定 | EU基準準拠製品を優先選定 |
| 業界トレンド把握 | EU規制が将来の日本規制を予見 |
3. 日本の化粧品基準との比較
EUの規制と日本の薬機法・化粧品基準を比較:
| 項目 | EU 1223/2009 | 日本(薬機法・化粧品基準) |
|---|---|---|
| 規制方式 | ネガティブリスト+一部ポジティブ | ネガティブリスト方式 |
| 成分通知 | CPNP登録必須 | 製造販売届出 |
| 動物実験禁止 | 完全禁止(2013年) | 化粧品では事実上不要だが完全禁止ではない |
| 26香料アレルゲン表示 | 必須(基準値超過時) | 全成分表示の中で表記 |
| パラベン規制 | 短鎖0.4%・長鎖禁止/制限 | 単体0.4%・合計1%(短鎖中心) |
| ホルムアルデヒド | 配合禁止 | 配合禁止 |
| PPD配合上限 | 6%(混合後) | 2%(医薬部外品の永久染毛剤) |
| 動物試験データ | 不可 | 限定的に可 |
日本の方が厳格な点:PPD上限。EU の方が厳格な点:動物実験禁止・26香料アレルゲン表示。
4. 日本に並行輸入される製品の留意点
オンライン購入で容易にアクセスできる海外製品の問題点:
- 化粧品基準(告示第331号)非準拠の可能性 — 日本の基準を満たさない成分配合の可能性
- ラベル表示が日本基準でない — 全成分表示の順序・形式が異なる
- メーカー保証なし — 日本市場向け製造販売業者の責任体系外
- 副作用発生時の追跡困難 — 薬機法に基づくメーカー報告経路が不明確
業務として使用するサロンは、国内で薬機法承認を受けた製品 の使用が安全衛生・法令遵守両面から推奨されます。
5. CosIng活用の実例
例1:「ナチュラル」表記の海外シャンプー
クライアントが持参した海外輸入の「ナチュラル」シャンプー。INCI を CosIng で検索:
- 主成分:Sodium Cocoyl Isethionate(界面活性剤・規制なし・OK)
- 防腐剤:Methylparaben(Annex V・0.4%上限・許可・OK)
- 香料:Linalool, Limonene(26アレルゲン・基準値超過時表示)
→ EU基準で問題なし。日本でも基本的に安全だが、薬機法上の製造販売届出があるかは別途確認必要。
例2:「無添加」表記の輸入カラートリートメント
INCI を CosIng で検索:
- Phenylenediamine(Annex III・PPD・最大6%・要表示)
→ 「無添加」と表示されているがPPD含有。EU でも日本でも48時間パッチテスト必要。「無添加」表示のみを信じてパッチテスト省略は危険。
例3:「ホルムアルデヒドフリー」縮毛矯正剤
INCI を CosIng で検索:
- Methylene Glycol(Annex III・規制対象・加熱でホルムアルデヒド放散)
→ 「フリー」表示に関わらず、加熱時にホルムアルデヒドが放散される製品。日本でも同様の懸念。
6. 26香料アレルゲン
EU が必須表示を要求する26成分。日本でも全成分表示の中で記載されますが、EU は「アレルゲンとして特定」する点で異なります:
| アレルゲン | 一般的な存在 |
|---|---|
| Linalool | ラベンダー・イランイラン・ベルガモット |
| Limonene | 柑橘系オイル |
| Citronellol | ゼラニウム・シトロネラ |
| Geraniol | ローズ・ゼラニウム |
| Eugenol | クローブ・シナモン |
| Cinnamal | シナモン |
| Coumarin | トンカ豆・ラベンダー |
| Hydroxycitronellal | 合成香料 |
| Amyl Cinnamal | 合成香料 |
| Benzyl Alcohol | 多くの香料 |
| その他16成分 | 各種 |
2024年に EU はリストを拡大しました — 最新の SCCS 意見を確認してください。
7. SCCS(消費者安全科学委員会)意見
EU SCCS は科学的レビューを発出し、CosIngの根拠を提供します。日本のサロンが参照すべき例:
- パラベン類安全性(2011, 2013, 2020)
- ホルムアルデヒド・ホルムアルデヒド放散物質(2017, 2021)
- カラー成分(毎年更新)
- ナノマテリアル(2023, 2024)
- マイクロプラスチック(2024)
これらの意見は将来の日本の規制変更を予見する指標になります。
8. 動物実験禁止の影響
EU は2013年以降、動物実験された化粧品成分・製品の販売を禁止しています。世界的にメーカーは:
- EU 向けに動物実験代替法を採用
- 結果として日本市場でも同じ製剤を販売
- 「クルエルティフリー」マーケティング表示が国際的に拡散
日本のサロンも、クライアントから「動物実験はされてますか?」と聞かれる場面が増えています。
9. 並行輸入製品のサロン使用の判断基準
業務として並行輸入製品を使用するかの判断基準:
| 確認項目 | 推奨レベル |
|---|---|
| 日本国内で薬機法承認の有無 | 必須 — なければ業務使用推奨せず |
| 製造販売業者の所在 | EU・日本・米国であれば追跡可能性高 |
| INCI 全成分表示が日本語含む | 必須 |
| メーカーから直接 SDS 入手可 | 必須 |
| 副作用報告経路の明確化 | 必須 |
| クライアントへの説明可能性 | 必須 |
これらを全て満たさない並行輸入製品は、業務使用しないことが安全。
10. クライアントとの会話
「先生、これ友達がパリで買ってきてくれたシャンプーなんですけど、使ってもらえますか?」 — このような場面で:
「申し訳ありません、当店では国内で薬機法承認を受けた製品のみ業務に使用しております。お持ちいただいた製品はEU向けの製品で、成分は安全性が高いものですが、当店の責任範囲外で使用させていただくのは、お客様への責任を果たせない可能性があります。同様の効果を得られる国内製品をお勧めいたします。」
このように丁寧に断ることが、サロンとクライアントの双方を守ります。
11. EU CosIngでの検索の実務
CosIng 検索画面で:
- 成分名(INCI)または CAS 番号を入力
- 結果ページで以下を確認:
- 機能(function)
- Annex(禁止/制限/許可)
- 制限内容
- 関連 SCCS 意見
3〜5分で1製品の主要成分を確認できます。
12. 2024〜2026年の動向
EU CosIngの最近の更新事項:
- 2024年:26香料アレルゲンリスト拡大
- 2024年:マイクロプラスチック禁止(リンスオフ製品)
- 2025年:一部UVフィルター制限
- 2025年:新CMR物質追加禁止
- 2026年:継続的な PFAS 規制
これらは将来の日本での規制変更を予見します。
13. 行政書士現場知見
サロン経営者の中で、薬機法と CosIng の使い分けを正しく理解している方は少数です。日本国内で業務するサロンの 第一参照は薬機法・化粧品基準。CosIng は補助的・予見的な情報源として活用するのが正しい位置づけです。
両者を混同して「EU で OK だから日本でも OK」と判断することは、薬機法違反のリスクを生みます。
14. MmowW Shamp👀 の役割
Shamp👀 成分モジュールは、各製品の INCI を CosIng と照合、Annex II/III/V 該当を検出、PAO・製造販売業者を即時アクセス、INCI ラベルを検索可能にして保管します。EU 基準コンプライアンス確認を秒単位で。
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免責事項
本記事は衛生・薬剤情報であり、法的・医療的助言ではありません。MmowW Shamp👀は日本の行政書士事務所が運営します。理容師法・美容師法・薬機法・厚労省ガイドラインの最終解釈は管轄官庁にご確認ください。
出典
- EU CosIng データベース: https://ec.europa.eu/growth/tools-databases/cosing/
- EU Regulation 1223/2009 on cosmetic products: https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A02009R1223-20240501
- 厚生労働省 化粧品基準(告示第331号): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133840.html
- 薬機法: https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145
- EU SCCS 科学意見: https://health.ec.europa.eu/scientific-committees/scientific-committee-consumer-safety-sccs_en
安全で、愛される。